平成19年4月1日 年金法の改正
年金が変わります !! 平成19年4月施行
70歳以上の在職者に在職老齢年金が適用されます。
世代間・世代内の公平を図るため、70歳以上の被用者の老齢厚生年金については、60歳台後半の被用者と同様の給付調整の仕組みが導入されます。但し、平成19年4月1日において70歳以上の方(昭和12年4月1日以前生まれの方)には適用されません。
支給対象となる年金
老齢厚生年金(報酬比例部分) ※ 老齢基礎年金及び経過的加算は全額支給されます。
支給停止額=(報酬月額相当額 ※1 +基本月額 ※2 -支給停止調整額 ※3)×1/2×12ヶ月
- 報酬月額相当額 その月の標準報酬月額にその月以前の1年間の標準賞与の総額を12で除した額を合算した額
- 基本月額 加給年金を除く老齢厚生年金の額を12で除した額(老齢厚生年金月額)
- 支給停止調整額 平成18年度は48万円です。但し、賃金変動率の如何によって政令によって改定されます。
65歳以降の老齢厚生年金を繰り下げて受けることができます。
平成14年4月から、70歳まで厚生年金被保険者資格が延びたことに伴い、従来あった老齢厚生年金の繰下げ制度が廃止されました。
65歳以後も就労する人で、実際に引退した時点から年金を受給する人に応えるために平成19年4月から老齢厚生年金を受給権を有する者であって、その受給権を取得した日から1年を経過する前に老齢厚生年金を請求していない者は、繰下げの申出ができることになります。その場合は一定の額(政令で定められる)が加算されます。
なお、平成19年4月1日前に65歳に達し、老齢厚生年金の受給権者を取得している人(一般に昭和17年4月1日以前に生まれた人)の場合は、この改正は適用されません。
老齢厚生年金の繰下げの申出ができる者
- 66歳に達する前(受給権取得後1年を経過した日前)に老齢厚生年金を請求していない者
- 老齢厚生年金の受給権を取得したときに遺族年金など他の年金の受給権者でなかった者
- 老齢厚生年金の受給権を取得した日から1年を経過した日までの間に他の年金の受給権者とならなかった者
繰下げ受給した年金額は、政令で定められた額が、加算された額になります。
65歳から在職のとき、在職老齢年金制度で支給停止されていたであろう額の残額を繰下げの対象とする。
政令で定める額=(繰下げ対象額+経過的加算額)×加算率(0.7%×繰り下げた月数)
老齢厚生年金の繰下げ受給の可否
生年月日 | 老齢厚生年金の繰下げ | 老齢基礎年金の繰下げ |
---|---|---|
平成14年4月1日前に受給権を得ている人(昭和12年4月1日以前に生まれた老齢厚生年金受給権者) | できる | 老齢厚生年金と老齢基礎年金を一緒に繰下げてうける |
昭和12年4月2日~昭和17年4月1日までに生まれた老齢厚生年金受給権者 | できない | 老齢基礎年金の繰下げはできる |
平成19年4月1日以後に65歳到達する老齢厚生年金受給権者(昭和17年4月2日以後生まれ) | できる | 老齢厚生年金と老齢基礎年金の繰下げは同時でなくてもよい |
遺族厚生年金が見直しになります。
65歳以上の併給調整は本人の保険料拠出に基づいた給付を優先
自分自身が納めた保険料をできるだけ年金額に反映させるため、自らの老齢厚生年金を全額受給した上で、現行水準との差額を遺族厚生年金として支給する仕組みにします。
子のいない若齢期の妻への遺族厚生年金の有期化
夫の死亡時に子のいない30歳未満の妻に対する遺族厚生年金の支給は5年間の有期給付とします。
- 子とは、18年度到達年度の末日までか、20歳未満で1、2級の障害にある場合
中高齢寡婦加算の見直し
子のいない妻には遺族基礎年金は支給されませんが、夫の死亡時に妻が35歳以上であれば、40歳になるまで待機したあと、中高齢寡婦加算が65歳まで加算されていました。平成19年4月以降、「夫の死亡時35歳以上の妻」の要件が、「40歳以上の妻」に変更され、40歳前に夫が死亡した場合は中高齢寡婦加算がつかなくなります。
厚生年金の分割制度が導入されます。
離婚時の厚生年金の分割制度は、平成19年4月1日以後に離婚等をした場合において、離婚等を当事者間の合意や裁判手続により按分割合を定めたときに、その当事者の一方からの請求によって、婚姻期間等の保険料納付記録を当事者間で分割することができる制度です。
基本的な仕組み
- 離婚時に厚生年金の分割制度により、婚姻期間中(※)の厚生年金の保険料納付記録(夫婦の合計)を離婚した場合に当事者間で分割することが認められます。
※事実上の婚姻関係にある方も対象になりますが、その場合、分割の対象になるのは、当事者の一方が被扶養者配偶者として国民年金法上の第3号被保険者と認定されていた期間に限られます。
- 分割ができるのは、施行日以降に成立した離婚ですが、施行成立前の婚姻期間に係る厚生年金の保険料納付記録も分割の対象とすることができます。
- 離婚当事者は協議により按分割合について合意した上で、社会保険事務所に厚生年金の分割請求を行います。(添付書類として合意に関する公正証書等が必要です。)
- 当事者間での合意がまとまらない場合、離婚当事者の一方の求めにより、裁判手続により按分割合を定めることができます。
- 按分割合(婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録の夫婦の合計のうち、分割を受ける側の分割後の持分の割合をいいます。)の上限は50%とし、下限は分割を受ける側の分割前の持分にあたる割合とします。
離婚時の厚生年金の分割の効果
分割を受けた当事者は、自身の受給資格要件に応じて、増えた保険料納付記録に応じた厚生年金を受給することができます。
この場合、
- 分割を受けても、自身が老齢に達するまでは老齢厚生年金は支給されません。
- 分割を行った元配偶者が死亡しても、自身の年金受給に影響しません。
- 原則として、分割された保険料納付記録は厚生年金の額の計算の基礎としますが、受給資格要件には参入されません。
国民年金の保険料額が改定されます。
平成19年4月分から平成20年3月分までの国民年金保険料は、月額14,100円となります。従来の月額13,860円より、月240円引き上げされました。
国民年金保険料は、平成29年度まで毎年度月額280円(この額は物価指数により変動します)引き上げられ最終的に月額16,900円となる予定です。これは、急速な少子高齢化に対応するため、年金を支える力と給付のバランスを取る仕組みを導入することにより、極力保険料の上昇を抑え、将来の保険料額を明確としたものです。なお、基礎年金の国庫負担を1/3から1/2に引き上げることにより、どの世代でも納付した保険料の1.7倍以上の年金が受け取れる試算(平成16年度厚生労働省試算)となります。