「時間外労働の上限規制」対策は「徹底管理」が最多 働き方改革関連法の対応状況の実態
日本商工会議所と東京商工会議所が全国の中小企業に対して行った「働き方改革関連法への準備状況等に関する調査」(1月発表)の結果をピックアップ。
人件費の価格転嫁など課題も浮き彫りに
同調査の結果より、働き方改革関連法への対策として、すでに「対応済み・対応の目途がついている」(以下「対応済み~」)と回答した中小企業が実際に行った取り組みや、課題について見ていきましょう。
時間外労働の上限規制
中小企業では2020年4月から施行される「時間外労働の上限規制」について、昨年10月~12月にかけての調査時点で「対応済み~」と答えた企業は、全体の45.9%でした。
具体的に講じた取り組みとしては、「時間外労働の管理の徹底」(57.4%)がもっとも高くなっています(下図1参照)。
また課題としては、「業務量に対して人員が不足している」(54.9%)、「年末年始や年度末など、特定の時期に業務が過度に集中する」(50.1%)などが多く挙げられています。
年次有給休暇の取得義務化
この4月に施行された「年次有給休暇の取得義務化」への対応では、「対応済み~」と回答した企業は全体の44.0%。具体的な取り組みは、「年次有給休暇の計画的付与」(59.2%)がもっとも高く、次いで「出退勤時間管理や休暇取得に関する管理職や一般社員への研修、意識啓発」(48.3%)などとなっています(下図2参照)。
課題については、やはり「業務量に対して人員が不足している」(45.5%)という回答がもっとも多くなっています。
同一労働同一賃金
中小企業では2021年4月施行の「同一労働同一賃金」では、「対応済み~」が全体の31.0%。
そのなかで、「対象となりそうな非正規社員がいる」と回答した企業の具体的な対応策では、「非正規社員の基本給や賞与、手当等の処遇改善」(39.7%)、「会社全体の賃金・人事制度の構築・見直し」(30.4%)など。
課題は、「増加した人件費を価格転嫁できない」(35.9%)、「同一労働同一賃金の内容が分かりづらい」(33.3%)、「社内に対応するための人的余裕がない」(13.1%)などでした。