政府目標とはまだ開きがある有給休暇取得率
働き方改革法案では、労働者の休暇や休息の付与に関する企業のさまざまな義務が謳われています。
施行前の状況は果たしてどうだったのか?改めて俯瞰的に見ていきたいと思います。
有給取得率は増加傾向にあるものの政府目標には遠く
この調査は常用労働者30人以上の、全国の民営企業を対象としたものです。
データは2018年1月1日付現在の状況で、年間のデータについては、2017年(または2016年会計年度)1年間の状況を尋ねています。
有給取得率は51.1%と20年ぶりの高水準
年次有給休暇取得率(1人当たり平均)は51.1%と前年と比べて1.7ポイント上昇しました。
この数字は1998年以来20年ぶりの高水準です。
ただ政府目標は「2020年に70%」で、現状とはまだかなり開きがあります。
平均取得日数は9.3日(前年9.0日)でこちらも増加しました。
企業規模別では労働者の数が多いほど、付与日数、取得日数、取得率のいずれも高くなっています。
業種別の取得日数で比較すると、最も多い「電気・ガス・熱供給・水道業」が14.2日なのに対し、最も少ない「宿泊業、飲食サービス業」が5.2日という結果となり、3倍弱もの開きのある結果となりました。
終業時刻から始業時刻まで11時間以上は74%
終業から次の始業までの間隔が11時間以上空いているかを尋ねたところ、「全員」が全体の40.5%、「ほとんど全員」が全体の33.5%で、合計すると74%に達しました。
一方で「全くいない」は6.8%、「ほとんどいない」は2.1%で、合計すると8.9%となっています。
特に労働者の規模が30人〜99人規模の企業の場合、「全くいない」が7.8%、「ほとんどいない」が2.3%で、合わせて約1割の労働者が、EUでルールとして義務付けられている「11時間」の休息が取れていません。
勤務間インターバル制度の導入企業は1.8%
終業から始業まで一定の休息時間を制度として導入している企業は、全体で1.8%と極めて少数となりました。
ただ「導入を予定又は検討している」が9.1%で、導入済企業と合わせると10.9%になります。
国は2020年までの導入企業の割合を10以上にするという目標を掲げており、仮に今回の調査通りに「予定又は検討」中の企業で導入されれば、この数字は達成されることになります。
有休、勤務間インターバルとも、子細に見ると企業規模や業種による差が見られます。
全体としての目標達成はもちろん重要ですが、一方で規模間、業種間の差がなくなるようにしたいものです。