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65歳から70歳までの高年齢者就業確保措置が企業の努力義務に

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投稿日:2020年6月3日(水)

高年齢者が70歳まで就業機会を確保できるように企業に努力義務を求める法律が成立し、来年4月から施行されることになりました。

単に雇用延長を求めるものではなく、起業支援や社会貢献活動参加への資金提供などの選択肢があります。

70歳までの就業機会の確保等を企業の努力義務とする「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部改正」が、3月31日に成立し、2021年4月から施行されることになりました。

今回の改正で特に注目すべきことは、企業の努力義務として、70歳までの就業機会の確保を雇用延長に留まらず、フリーランス契約や起業支援、社会貢献活動参加などへの就業支援が新たに選択肢として加えられたことです。

これにより、これまでは高年齢者への就業確保措置が雇用を前提としていましたが、起業支援や業務委託なども就業機会の確保措置となりました。

雇用による就業確保措置

現行法では、65歳までの高年齢者の雇用確保措置義務として、【1】65歳までの定年の引き上げ、【2】65歳までの継続雇用制度(再雇用制度又は勤務延長制度)の導入、【3】定年年齢の廃止のいずれかの措置を講じなければなりません。

これらの措置のうち、最も導入割合が多いのが【2】の継続雇用制度(77.9%)です(令和元年「高年齢者の雇用状況」より)。

この措置は、労使協定の締結により年齢に応じて対象者を限定できる経過措置があります。

しかし、この経過措置も2025年3月31日には終了し、2025年4月1日からはすべての企業に65歳までの雇用確保が義務付けられることになります(図1)。

今回の改正は、労働力が減少する中で、就労意欲も高く、仕事に対する経験が豊富な高年齢者を活用するために、70歳まで就業機会の確保を企業の努力義務として求め、将来的に70歳までの就業機会の確保を義務化するものです。

雇用による70歳までの就業機会の確保措置としては、これまでの65歳までの雇用確保措置に準じて、65歳以上70歳未満の定年年齢を定めている企業について、【1】定年年齢の引き上げ、【2】65歳以上の継続雇用制度の導入、【3】当該定年年齢の定めの廃止のうちのいずれかの措置を講じ、65歳から70歳までの安定した雇用を確保するように努めなければならないこととなりました。

なお、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合、または当該労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者との労使協定の締結により、創業支援等の措置などで、65歳定年後または継続雇用措置終了から70歳までの間の雇用以外の措置により就業の機会を確保する場合は、上記【1】~【3】の雇用確保措置に関する努力義務の適用はありません。

また、現行法の継続雇用制度では同一企業での雇用を原則としつつも、継続雇用先の範囲をグループ会社にまで拡大する特例が認められています。

しかし、改正法に基づく65歳以上の継続雇用制度においては、同一企業やグループ会社に限定することなく、他の企業への再就職を支援することも含まれます。

なお、その措置が継続雇用制度として認められるには、再就職先の企業との間で、定年後等に雇用を希望する者を、再就職先企業が引き続いて雇用することの契約を締結しなければなりません。

雇用以外の就業確保措置

今回の改正で注目すべきは、高年齢者の雇用以外の就業機会の確保措置として、新たに定年後または65歳までの継続雇用終了後に創業(フリーランス・起業)する者との間で、業務委託契約を締結する制度が創設されたことです。

(1)起業支援への資金提供

具体的には、その雇用する高年齢者が起業を希望するときは、定年後または65歳までの継続雇用終了後に、70歳まで継続的にその企業の業務を委託し、業務委託料を支払う契約を締結する制度を設けるものです。

どのような事業を制度の対象とするかについては、その制度を導入する企業が定めることになります。

なお、この措置を設ける場合には、高年齢者等の起業にあたり資金提供をしなければなりません。

(2)社会貢献活動参加への資金提供

定年後または65歳までの継続雇用終了後に、その雇用する高年齢者等が、それまで雇用していた企業が、(1)自ら実施する社会貢献事業、(2)委託、出資、その他の延長を行う団体が実施する事業で、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与することを目的とする事業に、70歳まで継続的に従事する制度を設けることになります。

なお、どのような事業を制度の対象とするかについては、その制度を導入する企業が定めることになります。

なお、(2)の場合には、その企業とその事業を実施する団体との間で、定年後または65歳までの継続雇用終了後に70歳まで引き続いてその事業に従事させることの契約を締結しなければなりません。

この際、その企業が導入する制度の実施内容に基づき、事業を実施する団体が高年齢者等に対して70歳まで事業に従事する機会を提供する旨を明示しなければなりません。

さらに、高年齢者が従事するその事業の円滑な実施に必要な出資その他の援助が必要となります。

高年齢者の多様な働き方を踏まえて、これまで述べたいずれか一つの措置を講ずることにより70歳までの就業機会を確保するだけではなく、複数の措置を組み合わせることでも、企業として高年齢者等の就業機会の確保に対する努力義務を満たす措置を講じているものと認められます。

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