自己都合退職に伴う給付制限期間が変更 失業等給付『給付制限期間』短縮措置のポイント
2020年3月に成立した『雇用保険法等の一部を改正する法律』と併せて、失業等給付に係る『給付制限期間』について実務上の取り扱いが変更となりました。
社内において退職の相談を受けた際、的確にアドバイスできるよう、ポイントをまとめます。
『給付制限期間』見直しの背景
雇用保険制度等の見直しが検討された2019年10月時点で、雇用情報は求人数が求職者数を大幅に上回って推移し、基本手当の受給者実人員は減少傾向となっていました。
そのような状況下で、転職を試みる労働者が安心して再就職活動を行うことができるよう支援する観点から、正当な理由のない自己都合離職者に対して、安易な離職を防止するという趣旨に留意しつつ、『給付制限期間』を3か月から2か月に短縮する措置が試行されることになりました。
基本手当と『給付制限期間』
雇用保険の被保険者が離職した場合、一定の要件を満たせば、雇用保険の基本手当(いわゆる失業等給付)を受けることができます。
離職票の提出と求職の申し込みを行った日以降、離職の理由等にかかわらず7日間の待機期間を経て基本手当が支給されます。
待機期間満了後、離職の理由等によっては給付制限があり、1.正当な理由がない自己都合により離職した場合、または自己の責めに帰すべき重大な理由で離職した場合は1か月以上3か月位内の間、2.受給資格者が公共職業安定所からの職業紹介や公共職業訓練等を正当な理由なく拒んだ場合、また再就職を促進するための職業指導を正当な理由なく拒んだ場合は、その拒んだ日から起算して1か月間は基本手当が支給されません。
『給付制限期間』短縮措置とは
2020年10月1日以降の離職者を対象に、給付制限事由のうち正当な理由がない自己都合により離職した場合に限り、3か月の『給付制限期間』が2か月に短縮されることになりました。
ここでのポイントは2点あります。
1つ目は認められるのが『5年間のうち2回まで』という点です。
5年間で2回以上自己都合による離職をした場合、2回までは短縮措置により2カ月の『給付制限期間』となりますが、3回目からは従来通り3か月の給付制限がかかることになります。
2つ目は、2020年9月30日以前の自己都合による離職は、2020年10月1日以降の離職に係る給付制限に影響はなく、『給付制限期間』は従来通り3か月となり、離職日が10月以降かどうかで給付制限期間が変わる点です。
9月末退職希望者にとっては、今後の再就職活動に大きな影響を及ぼす可能性があるため、総務や人事担当者は、厚生労働省のリーフレットを参照に適切な対応を心がけてください。