2021年度の新入社員意識調査「定年まで勤める」層の割合が増加
コロナ禍の影響を就職戦線でモロに受けた2021年4月新卒入社者。
将来について、さらに魅力的に映る企業の制度について、どのような意識を持っているのでしょうか。最近の調査で見ていきます。
就職活動は「厳しかった」が久々に増加に転じる
この調査は東京商工会議所研修センター主催の新入社員ビジネス基礎講座の受講者870人を対象に行ったもので、791人から回答を得ました(回答率は90.9%)。
回答者の属性は、大学(文系)卒が47.2%、大学(理系)卒が15.3%、高校卒が16.6%などとなっています。
まず、就職活動の印象についてですが、近年横ばいで推移していた「厳しかった」「やや厳しかった」と答えた割合が増加に転じました。
具体的には「やや厳しかった」は2年前の2019年度が29.5%に対して2021年度は35.1%に、「厳しかった」は10.7%が14.9%になっています。
過去の経緯を見ても顕著な増加と言えるでしょう。
しかし一方で、「順調だった」も2年前の21.8%から23.0%に増加しています。
「ほぼ順調だった」が37.0%から26.9%と大幅ダウンとなりました。
なお、平均内定企業数も全体的に減少に転じました。
安定志向の表れ?「定年まで働く」の割合が増加
グラフ1は。「今の会社でいつまで働きたいか」を尋ねた結果です。
「定年まで」と答えた割合が2019年度の21.3%から8.0ポイントもの増加で29.3%となりました。
近年、減少傾向にありましたが、ここに来て増加に転じました。
なお、「チャンスがあれば転職」「将来は独立」「時機をを見て退職」の合計値は28.4%と2年前とほぼ同水準です。
「定年まで」の割合は伸びつつも、退職・独立志向の層は一定割合で変わらず存在しているようです。
働き方改革に関係する項目が「魅力的に感じる」制度の上位に
「魅力に感じる企業の制度」を尋ねた結果がグラフ2です。
上位2項目は働き方改革に関係する制度で、ある程度のゆとりと柔軟性のある働き方を求めている意識がうかがえます。
これに続く「資格(検定)等の取得支援」と「人材育成体系(研修計画)の充実」を求める志向は、自己研鑽に対する意識の高さを持つ層と位置付けられ、4割以上が「魅力を感じる」と答えています。
一方で「テレワーク(在宅勤務)」と「出産・育児との両立支援」「介護との両立支援」などは下位となりました。
テレワークに対しては、新人からしたらイメージが沸かないのかもしれません。
育児や介護との両立に関しても、入社後ある程度経過して年齢を重ねないと、その必要性が実感できないと考えることもできます。
他の制度と比べて選ぶ人の割合が少ない結果となりました。