新規学卒者等若年者の募集・採用等に関する主な注意点
企業にとって、新規学卒者の採用は、新しい戦力を取り込んで人材の新陳代謝を促す重要な意義を持っています。
しかし、採用方法などに関しては一定のルールが定められています。
最近の指針改正の内容を見ていきましょう。
「青少年の雇用の促進等に関する法律」(若者雇用促進法)では、新規学卒者など若年者の雇用の促進等を図り、その能力を有効に発揮できるようにするため、企業や特定地方公共団体等の若者の募集・採用等に際しての事業主として講ずべき措置について指針を作成・公表しています。
本年4月には、近年問題となっている面接時のハラスメントへの対応を含め、事業主が講ずべき措置を新たに定めていますので、今後の若年者の募集・採用にあたっては留意しなければなりません。
募集時の労働条件の明示
企業が、若年者を募集するにあたり、遵守すべき事項として、青少年が適切に職業選択を行い、安定的に働くことができるようにするためには、あらかじめ労働条件などを的確に示すことが必要です。
したがって、募集に応じて労働者となろうとする者に対して、従事すべき業務の内容や賃金、労働時間、その他の労働条件を可能な限り速やかに明示しなければなりません。
従事すべき業務内容などは、虚偽または誇大な内容としないことが求められます。
賃金に関しては、賃金形態(月給、日給、時間給等の区分)、基本給、定期的に支払われる諸手当などのほか、固定残業代を採用している場合には、その労働時間数と金額の計算方法なども明示する必要があります。
個人情報の適切な取り扱い
4月の指針の改正により、募集情報等提供事業者、求人者、募集者などは、職業安定法に基づく職業紹介事業者等指針(求職者等の個人情報の取り扱いについて、個人情報の収集、保管および使用、個人情報の適正な管理、個人情報の保護に関する法律の遵守等)第4に基づき、求職者等の個人情報を適切に取り扱うことが求められることになりました。
内定辞退等勧奨の防止
採用内定は、労働契約(始期付き労働契約)が成立したと認められるものです。
したがって、企業として、客観的に合理的な理由を欠き、社会通年上相当であると認められない採用内定取り消しは無効とされることに十分に注意しなければなりません。
また、次のような行為を行うべきではないとされています。
1.採用内定または採用内々定と引き替えに、他の事業主に対する就職活動を取りやめるよう強要する(いわゆるオワハラ)などの職業選択の自由を妨げる行為など。
2.採用内定者について、労働契約が成立したと認められる場合には、採用内定者の自由な意思決定を妨げるような内定辞退の勧奨をすること。
就活生などに対するハラスメント問題へ対応
就活生や内定者に対するハラスメント(いわゆるリクルートハラスメント)が一時期問題となりました。
その背景にあるのが、就活マッチングアプリや就活SNSです。
指針では、新たに事業主に対して、その雇用管理上の措置として、役員など事業主自らのほか、雇用する労働者が就職活動中の学生やインターンシップ中の者などに対する言動について、必要な注意を払うよう配慮する取り組み(研修の実施などによる周知徹底)をすることが望ましいとしています。
「青少年雇用情報」の提供
企業は応募者に対するマッチング向上のため、労働条件を的確に伝えることに加えて、平均勤続年数や研修の有無および内容といった職場情報を新卒者等に提供することが、若者雇用促進法によって、義務づけられています。
ホームページなどで直接募集を行う場合には、青少年雇用情報シートを活用するなどして、すべての項目について情報提供することが望ましいとしています。