労働者数101人以上の企業に行動計画の策定義務化 改正「女性活躍推進法」のポイント
近年、女性の活躍が盛んに求められ、様々な推進策が実施されています。
「女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)」を改めて確認するとともに、改正により新たに義務化(2022年4月施行)される内容について、準備すべきポイントをお伝えします。
女性活躍推進の経緯
2003年以降、政府は2020年までに女性が指導的地位に占める割合を、少なくとも30%程度とする「2020年30%目標」を掲げ、男女共同参画基本計画を進めてきました。
総務省の労働力調査によると、女性の就業率は確実に上昇しているものの、就業を希望しながらも働けていない女性や、出産・育児を理由に離職する女性は、依然として多い状況です。
また同調査によれば女性雇用者のうち、非正規の割合は6割近く、管理的立場にある女性の割合は15%程度です。
急速な人口減少により、将来における労働力不足が懸念されるなか、政府は「2030年代には、誰もが性別を意識することなく活躍でき、指導的地位にある人々の性別に偏りがないような社会を目指す」ことを新しい目標に掲げ、「2020年代30%目標」に取り組むとしています。
現行の女性活躍推進法
「女性活躍推進法」は、働きたい女性が個性と能力を十分に発揮できる社会を実現するため、2016年4月に施行された10年間の時限立法です。
女性の活躍推進について、基本原則を定め、国や地方公共団体、企業に対して実施すべき指針が定められています。
基本方針としては、解決すべき課題に対応する効果的な取り組みとして、女性の職業生活に関する機会の提供や、仕事と家庭の両立を可能とする雇用環境の整備について、具体的な項目が挙げられています。
現行の女性活躍推進法では、常時雇用する労働者数301人以上の企業に対して、一般事業主行動計画(以下、行動計画)の策定・周知・公表と、自社の女性の活躍に関する情報公開が義務付けられています。
また同法に基づき、女性の活躍を応援している企業には、認定マーク「えるぼし」が付与され、商品や広告等に付して、女性活躍推進企業であることをPRすることができます。
改正女性活躍推進法とは
今回の改正により、2022年4月以降、これまで努力義務であった常時雇用する労働者数が101人以上300人未満規模の企業が、新たに義務の対象となります。
「常時雇用する労働者」とは、雇用形態を問わず、期間雇用者で1年以上雇用されているか、雇用見込みのあるパートタイマーやアルバイトも含まれるため、注意が必要です。
義務付け対象企業に該当する場合、施行日までに行動計画の策定や情報公開などの対応が必須となります。
事業主に求められる取り組み
行動計画の策定から届出までは、4つのステップで進めていきます。
第1ステップは、女性労働者の活躍状況の把握と課題分析です。
基礎4項目(1.採用者に占める女性割合、2.男女の平均勤続年数の差異、3.月ごとの平均残業時間等労働時間の状況、4.管理職に占める女性労働者の割合)により、自社の女性活躍の状況を把握したうえで、改善すべき課題について分析してください。
第2ステップは、課題分析の結果を踏まえた、自社の行動計画の策定と周知、公表です。
盛り込むべき必須項目は、1.計画期間、2.数値目標、3.取り組み内容、4.取り組みの実施時期です。
策定した行動計画は、非正規社員を含めたすべての労働者に周知したうえで、厚生労働省が運営する女性の活躍推進企業データベースや自社のホームページを利用して、外部へ公表する必要があります。
第3ステップで、「一般事業主行動計画策定・変更届」を、電子申請・郵送または持参し、都道府県労働局へ届出を行います。
第4ステップでは、取り組みを実施し、定期的に数値目標の達成状況や、実施状況を点検・評価して、結果をその後の取り組みや計画に反映させ、自社の実情を的確に把握するよう努力することが求められます。
詳細は厚生労働省ホームページの女性活躍推進法特設ページで確認して、適切に対応しましょう。