【令和4年就労条件総合調査】有給休暇取得率は増加傾向だが産業間格差も
政府は少子化社会対策大綱(2020年5月29日閣議決定)などで、2025年までに年次有給休暇の取得率を70%にすることを目標に掲げています。では、現状はどうなのでしょうか。
厚生労働省が2022年10月に公表した「令和4年就労条件総合調査」の結果をもとに見ていきます。
「就労条件総合調査」では、民間企業の就労条件の現状を明らかにすることを目的に、主要産業における企業の労働時間制度、定年制度、賃金制度についての総合的な調査を実施、統計しています。
常用労働者を30人以上雇用する民営法人が対象で、企業全体の常用労働者のうち期間を定めずに雇われている労働者(パートタイム労働者を除く)について調査しています。
対象となる時期は2022年1月1日現在の状況で、年間については2021年(または2020年会計年度)1年間の状況となっています。
ここでは労働時間制度の休日関連の調査について見ていきます。
完全週休2日制の採用企業は半数弱
主な週休制(企業において最も多くの労働者に適用される週休制)の形態を見ると、「何らかの週休2日制」(月1〜3回、隔週の週休2日制も含む)を採用している企業の割合は83.5%。
このうち「完全週休2日制」を採用している企業は48.7%で、これを企業の規模別で見ると「1000人以上」が65.8%、「300〜999人」が61.2%、「100〜299人」が48.2%、「30〜99人」が47.1%となっています。
また、年間休日総数の1企業平均は107.0日で、企業規模別では「1000人以上」が115.5日、「300〜999人」が114.1日、「100〜299人」が109.2日、「30〜99人」が105.3日。
企業規模が小さいほど年間の休日数が少ないことがわかります。
年次有給休暇の取得率は過去最高の58.3%
次に企業が労働者に付与した年次有給休暇日数(繰越日数を除く)を見ると、労働者1人平均は17.6日。
このうち労働者が取得した日数は10.3日で、取得率は58.3%でした。
取得率は2000年に入った頃から40%台後半で推移していましたが、働き方改革関連法案が施行された2019年前後から50%を超え、今回の結果は1984年以降で最高の数字となっています(図参照)。
企業規模別の取得率は「1000人以上」が63.2%、「300〜999人」が57.5%、「100〜299人」が55.3%、「30〜99人」が53.5%でした。
また、産業別では、「複合サービス事業」が72.4%と最も高く、次いで「電気・ガス・熱供給・水道業」が71.4%。
一方、「宿泊業、飲食サービス業」(44.3%)と「卸売業、小売業」(49.5%)は50%を下回りました。
年次有給休暇は法律で定められた労働者の権利です。
2019年の労働基準法改正で、法定の年次有給休暇日数が10日以上の労働者には年5日の確実な取得が義務付けられましたが、本来はすべて取得されるべきもの。
労使協定を締結して企業が休暇取得日を計画的に割り振る「年次有給休暇の計画的付与制度」を導入するなどして、取得体制を整えることが大切です。