収入の増加や生活の安定、活躍の場の拡大などが目的 働く人の副業に関する調査
近年、政府は働き方の多様化に向けて副業・兼業を推奨しており、容認する企業も増加傾向にあります。
では、実際に労働者は副業・兼業に対してどのように取り組んでいるのでしょうか。
独立行政法人労働政策研究・研修機構が行なった調査が、その現状を示しています。
働き方改革にともない、厚生労働省では「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定するなど、企業と労働者が安心して副業・兼業を行えるようにするための環境整備が、政府を中心に行われてきました。
こうした取り組みを受けて、独立行政法人労働政策研究・研修機構では「副業者の就労に関する調査」を実施。副業をしている労働者の割合や、その副業における就業形態・職種、副業を行う理由などを調査しています。
副業者の割合は6.0%
同調査によると、仕事をしている人のうち副業をしている人(以下、副業者)の割合は6.0%で、男女別では女性(7.4%)の方が男性(5.1%)より高いことがわかりました。
副業者の本業(自らが主軸だと考える仕事)の就業形態を「正社員」「非正社員」「非雇用者」に分けると、非正社員(41.0%)、正社員(38.1%)、非雇用者(20.9%)の順となっています。
一方、主な副業(最も収入の多い副業)の就業形態は非正社員(60.1%)、非雇用者(33.1%)、正社員(6.8%)の順となり、その職種は「専門的・技術的職業」(22.3%)、「サービス職業」(18.2%)、「運搬・清掃・梱包等」(13.4%)などが多い傾向にあります。
また、主な副業で働く頻度は「週の1〜2日程度」(31.4%)、「週の半分程度」(18.6%)、「月に数日程度」(16.7%)が多くなっています。
副業による1カ月あたりの収入は「5万円以上10万円未満」(30.0%)、「10万円以上15万円未満」(13.2%)、「3万円以上4万円未満」(10.5%)、と続いています。
主な動機は経済的な理由
同調査では、副業する理由についても尋ねています(図表)。
最も多いのは「収入を増やしたいから」の54.5%で、次いで「1つの仕事だけでは収入が少なくて、生活自体ができないから」が38.2%。
以下、「自分が活躍できる場を広げたいから」(18.7%)、「時間のゆとりがあるから」(15.8%)と続きますが、新型コロナの流行が副業をしている理由に影響していると答えた人が34.7%いることからも、経済的な理由が大きいといえそうです。
厚生労働省は副業について、就業時間や健康面の管理など留意すべき点があるものの、労働者にはスキルアップや自己表現の追求ができる、企業側には労働者が副業で得た新たな知識・情報や人脈が事業機会の拡大につながる、といったメリットがあるとしています。
企業はガイドラインを踏まえ、自社に合ったかたちでの導入を検討することが肝要です。