6割超の企業が活用または活用を検討 企業における生成AIの導入状況と意向
今、テキストや画像、音声などを生成できる「生成AI」が話題です。新しいサービスが次々に登場し、ビジネスにおいてはアイデアの創出や業務の効率化などへの活用が期待されています。
そこで、帝国データバンクの調査から企業の生成AI活用の実態を概観します。
「生成AI(ジェネレーティブAI)」とは、あらかじめ学習したデータをもとに画像や文章、音楽などを新たに作成してくれるAI(人工知能)のこと。
過去のデータから販売予測をしたり、顧客分析を行って新しい製品やサービスのアイデアを創出したりと、生成AIのビジネスへの活用が注目されています。
実際、帝国データバンクが今年6月に行った調査「生成AIの活用に関するアンケート」によると、「業務で活用している」企業が9.1%、「業務での活用を検討」している企業が52.0%と、関心の高さがうかがえます(図参照)。
文章・コード生成が最多
では、どのような機能な活用されているのでしょうか。
同調査によると、生成AIを活用または活用を検討している企業が「活用したことがある、または活用したい生成AI」は、「文章・コード生成AI(総合型)」が突出して高く、93.1%でした。
次いで「画像生成AI」(14.3%)、「音声・音楽・動画生成AI」(7.4%)の順となっています。
さらに、利用度の高い文章・コード生成AIにおいて、「活用したことがある、または活用したいサービス」を尋ねたところ、アメリカのオープンAI社が開発した「ChatGPT」が87.9%と他を圧倒。
次いで同国グーグル社の「Bard」(27.2%)、翻訳に特化した同国スマートリング社の「Smartling」(4.7%)が続いています。
国際的なルール形成へ
一方で、先の述べた「業務での活用を検討」している企業52.0%の内訳を見ると、「活用を具体的に検討していく」が14.2%なのに対し、「現時点では活用イメージが湧かない」が37.8%と高くなっています。
この理由に関しては、「業務とのつながりがイメージできない」(機械・器具卸売)、「使用したいが、使い方がよく分からない。詳しい社員もいないのでしばらくは静観するしかない」(輸送用機械・器具製造)などの声を調査では紹介しています。
また、「生成AIによってエンジニアをはじめとする社員の能力が低下するのではないかという懸念点がある」(情報サービス)、「結論を導く一助とはなるであろうが、生成AIで得た情報が正確なものであるか、公序良俗に反してはいないかなど、信頼できるレベルにはないと思っている」(建設)といったリスクを危惧する声もあり、ビジネス面での利用には課題もあるようです。
実際、生成AIは利便性が評価される一方、偽情報の拡散など悪用される事例も生じており、今年5月のG7広島サミットでは国際ルールを形成することで合意。
年内に見解をまとめる方向です。
こうした背景を踏まえると、企業は社内ルールを設けたうえで、効果的な活用法を検討していくことが望ましいといえます。