業務内容や職場環境のミスマッチが原因!?新規学卒就職者の早期離職の現状
2月は新年度に向けて新入社員の入社前研修の実施や、配属先を検討する時期です。
しかし、厚生労働省の調査では新入社員の3人に1人が3年以内に離職することがわかっています。
早期離職を防ぐにはどうすればよいのか。新卒者の早期離職の実態とその理由を探ります。
過去10年の離職率は横ばい
厚生労働省が2023年10月に取りまとめた「新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)」によると、就職後3年以内の離職率は新規高卒就職者が37.0%、新規大学卒就職者が32.3%でした。
過去10年の3年以内離職率はいずれも概ね横ばいで推移しています。
これを事業所規模別で見ると、高卒、大卒ともに事業所の規模が小さいほど離職率が高くなる傾向にあります。
また、産業別では高卒が「宿泊業、飲食サービス業」(62.6%)、「生活関連サービス業、娯楽業」(57.0%)、「小売業」(48.3%)、大卒が「宿泊業、飲食サービス業」(51.4%)、「生活関連サービス業、娯楽業」(48.0%)、「教育、学習支援業」(46.0%)の順で多くなっています。
やりがいも大切
最初の就業先を離職した理由については、内閣府の「平成30年版子供・若者白書」で調査しています(図表参照)。
それによると「仕事が自分に合わなかったため」、「人間関係がよくなかったため」、「労働時間、休日、休暇の条件がよくなかったため」の順で多くなっており、業務内容や職場環境のミスマッチが大きな理由になっていることが見てとれます。
また、同調査の質問「仕事をする目的(2つまで回答)」に対する回答は、「収入を得るため」(84.6%)が突出して高いものの、次いで「仕事を通して達成感や生きがいを得るため」(15.8%)、「自分の能力を発揮するため」(15.7%)と続いており、仕事を人生の一部と捉えてやりがいを求める傾向もありそうです。
早期離職がもたらす影響
リクルートの調査・研究機関「就職みらい研究所」が発行した「就職白書2020」によると、2019年度の新卒採用1人当たりの平均採用コストは93.6万円で、採用に携わった平均人数は募集人数を確保できた採用充足企業が16.9人、確保できなかった採用未充足企業が11.7人となっています。
入社後の新人教育などの労力も踏まえると、早期離職は企業に採用や教育コストの損失をもたらします。
さらに労働力が減ることで現場の業務負担の増加や企業イメージの低下が生じ、社員のモチベーションが下がってさらなる離職を引き起こす可能性も考えられます。
経済産業省では新卒就業者の早期離職を防ぐために、学生の就業観を培うインターンシップ制度の導入を推進しています。
また、新入社員が早く組織に馴染み、力を発揮できるように育成する教育プログラム(オンボーディング)や、労働環境や待遇の改善、定期的な面談などに取り組むことが大切だといえます。