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賃上げと投資を軸とした成長型経済の実現へ「骨太の方針2024」人事・労務関連の重点事項

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投稿日:2024年10月22日(火)

2024年6月下旬、「経済財政運営と改革の基本方針2024」(骨太の方針2024)が閣議決定されました。

人事・労務関連では中小企業・小規模企業の賃上げに重点がおかれ、昨年に続き三位一体の労働市場改革を推進するとしています。ここでは、人事・労務関連のなかでも特に重要な事項に着目します。

骨太の方針2024

毎年6月、政府の経済財政政策や行政、社会分野などにおける改革の重要性とその方向性を示す基本方針をまとめた「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)が策定され、閣議決定の上、公表されます。

2024年度においては、1991年以来33年ぶりの高水準の賃上げが実現したことを受け、賃上げを起点とした所得と生産性の向上などによる「成長型の新たな経済ステージ」に移行し、デフレからの完全脱却を図る方向性が示されています。

また中長期的には、少子高齢化・人口減少を克服するために、人口減少が本格化する2030年度までを対象とした「経済・財政新生計画」を策定し、誰もが豊かさと幸せを実感できる持続可能な経済社会の実現を目指すとしています。

「稼ぐ力」の向上

人口減少による人手不足に加え、物価上昇が賃金上昇を上回るなか、賃上げを持続的かつ構造的なものとするためには、物価を上回る賃上げの「定着」が必要です。

特に中小企業・小規模企業における賃上げの定着が重要であり、そのためには「稼ぐ力」の向上が求められています。

その対策として、労務費などの適切な価格転嫁の推進や、AIやロボットの自動化技術による省力化投資への支援、人材派遣の奨励など大企業との協力関係の確立に向けて、官民を挙げて全力で取り組むとしています。

具体的には、建設業やトラック運送業、警備業、農林水産業や食品産業における就業者の所得向上について、各業界の実態に応じて労務費などを考慮した合理的な価格形成や価格転嫁がなされるように、制度改革も含めて検討を進める予定です。省力化投資については、特に人手不足感の強い運輸業、宿泊業、飲食業を対象として、自動化技術を用いることができる現場労働者の育成に向けたリ・スキリングを実施するとしています。

また、大企業との協力関係の確立については、前提として副業・兼業の導入を容易にし、利用促進を図る必要があります。企業側に重い負担となっている割増賃金の支払いに係る労働時間の通算管理の在り方について、労働基準法などの関係法令における解釈の変更も含めて検討し、制度の簡素化を図る予定です。

賃上げの促進

最低賃金においては、2023年に全国加重平均1004円となり、引上げ額は43円で、過去最高となっています。今年はさらに、2030年代半ばまでに、全国加重平均を1500円とする目標を掲げ、また、地域格差の是正を図るために、地域別最低賃金の最高額に対する最低額の比率を引き上げるとしています。

非正規雇用労働者の処遇改善においては、未だに正規雇用労働者との賃金格差が存在していることが指摘されています。

処遇の差に対する根拠説明が不十分な場合、都道府県労働局が指導・助言を実施していない企業に対しては労働基準監督署による点検要請を行うなど、昨年に引き続き、同一労働同一賃金を徹底して図る方針です。さらに、職務限定社員、勤務地限定社員、時間限定社員などの多様な正社員や無期雇用フルタイム社員に対しても、「同一労働同一賃金ガイドライン」の考え方を取り入れるなど、パート・有期雇用労働法などの在り方の検討を進める予定です。

人への投資

終身雇用や転職に対する考え方が急速に変化し、働き方が大きく変化するなか、年齢にかかわらず、多様な人材がその能力を発揮し、安心して働くことができる環境整備が重要となっています。その手段として、昨年に引き続き、三位一体の労働市場改革をさらに推進する方針です。

まず、ジョブ型人事の導入については、個々の企業の実態に応じた指針を策定し、企業側にシニア層への仕事の機会を提供するために、役職定年や定年制の見直しなどを求めるとしています。また、スタートアップなど創業当初においては、管理職など労働時間規制の適用除外となる役職や、裁量労働制の対象となる業務の範囲が曖昧になりやすいことを受け、運用の明確化を図るとしています。そのほか、労働者が裁判で勝訴し、無効な解雇であると認められた場合の金銭救済制度の検討を進めるとしています。

労働移動の円滑化については、労働者の意思を尊重することが大切です。企業内・産業間双方の労働移動を促すため、現場人材を対象とした政府認定のスキル評価制度の構築や、スキル習得のための受講講座を教育訓練給付の対象とするなど、官民を挙げて要請・支援する予定です。

労働者自らの選択による労働移動の円滑化という観点から、失業給付制度を見直し、来年4月より、離職日から遡って1年以内に教育訓練を受講した場合は、自己都合退職でも会社都合の場合と同じ取扱いをするとしています。

また、生活の安定性を維持したまま能力向上を図るために、在職期間中のリ・スキリングの強化を推進し、企業経由の支援策を検討する予定です。さらにはジョブ型人事の導入と組み合わせ、兼業・副業を積極的に受け入れることができる体制を整えるとしています。

そのほか、高齢者の労働災害防止のための環境整備をはじめ、メンタルヘルス対策の強化、勤務時間インターバル制度の導入、テレワークや選択的週休3日制度の普及などを推進するとしています。

女性活躍・男女共同参画

現在、女性の就業率の推移は、年齢階級別の正規雇用率が20代後半でピークを迎え、出産などを契機に30~40代になると非正規雇用化するために低下する、いわゆる「L字カーブ」を描いています。

女性活躍を推進するにあたっては、昨年に引き続き、L字カーブの解消と男女間の賃金格差の是正が喫緊の課題となっています。

L字カーブの解消については、「女性活躍・男女共同参画重点方針2024」(女性版骨太の方針2024)に基づき、「人材の育成」を中心として、①企業における女性の採用・育成・登用の強化や女性起業家の支援など女性活躍の推進、②リ・スキリングの推進や仕事と育児・介護の両立支援など女性の所得向上・経済的自立に向けた取り組みの推進、③ハラスメント防止対策や意識啓発など個人の尊厳と安心・安全が守られる社会の実現、④男女共同参画の視点に立った政府計画の策定や政治・行政分野や国際的な分野における女性の参画拡大など、四つの柱に沿って取り組むとしています。

男女間賃金格差の解消に向けては、実態把握・分析・課題の整理を実施し、差異分析ツールの開発・活用推進を進めるなど、所得向上を目指して女性の活躍を支える方針です。また、女性活躍推進法に基づく男女の賃金差異に係る開示義務については、ガイドラインや研究報告書なども活用・参照し、賃金差異の分析・是正とその結果について記載する説明欄の活用を一層促進して、フォローアップに努めるとしています。さらに、開示義務の対象を常時雇用する労働者の数が101人以上300人以下の一般事業主へと拡大する検討を始めるなど、より多くの企業に待遇の見直しを促す方針です。

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