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マイナンバーカードと健康保険証が一体化 マイナ保険証の仕組みと企業対応

投稿日:2024年12月28日(土)

2024年12月2日以降、従来の健康保険証の新規発行が終了し、マイナンバーカードを健康保険証として使用する仕組みに移行されます。

ここでは、健康保険証が廃止されるまでの流れと、企業に求められる事項および関連する留意点を確認します。

マイナ保険証とその導入背景

マイナンバーカードは、2016年1月から本人の申請により交付が開始されたICカードです。

2024年10月現在において、マイナンバーカードの交付枚数(累計)は人口比で82.3%となっています。

マイナンバーカードは、個人番号を証明する書類としてだけでなく、公的な本人確認書類として利用することができます。

また、各種行政手続きにおいては、個人専用のサイトであるマイナポータルへのログイン時に使用し、オンライン申請することが可能となります。

オンライン上で安全かつ確実に本人であることを証明できるため、デジタル社会である現代においては必要不可欠なツールとなっています。

マイナンバーカードの利用促進に向けた取り組みの一つとして、医療分野におけるDX化があります。

医療DXとは、「保険・医療・介護の各段階(疾病の発症予防、受診、診察・治療・薬剤処方、診断書等の作成、診療報酬の請求、医療介護の連携によるケア、地域医療連携、研究開発など)において発生する情報やデータを、全体最適された基盤(クラウドなど)を通して、保険・医療や介護関係者の業務やシステム、データ保存の外部化・共通化・標準化を図り、国民自身の予防を促進し、より良質な医療やケアを受けられるように、社会や生活の形を変えること」(厚労省HP)と定義づけられています。

マイナンバーカードは、健康保険証として利用登録を行うことにより、従来の健康保険証に代わって利用することができます。

利用登録されたマイナンバーカードは、「マイナ保険証」と呼ばれます。

マイナ保険証は医療DXの基盤となり、今後、電子カルテの情報共有、医療費助成の受給者証や診察券などとの一体化など、機能の拡充が予定されています。

マイナ保険証のメリット

マイナンバーカードと健康保険証を一体化することは、オンラインによる即時の資格確認などが可能になることから、大きく二つのメリットが挙げられています。

一つ目は、「本人の受信履歴に基づいた質の高い医療の実現」です。

マイナ保険証によるオンライン資格確認では、直近の資格情報を確認することができます。

また、本人の同意に基づき、患者へ直接問診するよりも正確かつ効率的に、過去の薬剤情報や特定検診情報などを医療機関・薬局に提供することができるため、過去の健康・医療データに基づいた適切な医療の受診が可能となります。

二つ目は「医療機関や保険者などにおける効率的な医療システムの実現」です。

顔認証などによる確実な本人確認と資格確認を同時に行うことが可能で、不正使用の防止や未収金の減少に繋げることができます。

また、保険者にとっては、健康保険証や高額療養費制度に基づく限度額適用認定証の発行事務が減少するほか、資格喪失後の保険証使用などによる過誤請求に係る事務処理負担が減少するなど、業務の効率化や医療費の適正化が可能になると考えられています。

健康保険証の経過措置

2024年12月2日以降、健康保険証が廃止され、新規発行が終了します。

健康保険証の廃止に伴い加入者情報を明確にするため、同年9月以降、現存するすべての加入者に対して、「資格情報のお知らせ」が事業所あてに送付されています。資格情報のお知らせには、マイナンバーの下4桁が記載されており、確認が必要です。また、送付書類には切り取って携帯できる「資格情報のお知らせ」も付いています。

資格情報のお知らせは、受診する際に、カードリーダーがない、あるいは故障中で使用できない医療機関において、マイナンバーカードと一緒に提示することで保険診療を受けることができるため、大切に保管しておきましょう。

移行前の経過措置として、発行済の健康保険証は1年間有効であり、2025年12月1日まで使用することができます。ただし、経過措置中に有効期限を迎えた場合や、退職や転職などで保険資格の移動が生じた場合は失効するため、返納しなければなりません。

また、マイナンバーカードを持っていない、または健康保険証の利用登録をしていない人に関しては、加入している保険者から発行される「資格確認書」により、従来通り医療機関を受診することができます。資格確認書は、5年以内で保険者が設定する有効期限があります。有効期限内に、保険資格の異動などが生じて失効した場合は返納しなければならないため、注意が必要です。

事務処理における留意点

企業における健康保険の手続きにおいては、従来と変わらず、資格取得・喪失などの事務処理が必要となります。ただし、加入手続きの際は、本人や被扶養者のマイナンバーの記載が必須となります。

2024年12月2日以降はオンラインによる資格確認となるため、記載せずに届け出をした場合は、医療機関や薬局の窓口に設置してある「オンライン資格確認システム」に未登録となります。

未登録の場合はマイナンバーカードだけでなく、健康保険証で受診した場合であっても、健康保険の資格や一部負担金限度額の確認に支障が生じる可能性があるため、留意しましょう。

また、2024年12月2日以降の新規加入において、従業員がマイナンバーカードを持っておらず資格確認書の発行を希望する場合は、資格取得届などに設けられた資格確認書希望有無欄にチェックを入れる必要があります。

手続きの際には、マイナンバーの提出を依頼すると同時に、マイナンバーカードの有無を確認しておきましょう。

ただし、資格確認書発行には時間を要し、2カ月ほどかかる場合もあります。

事務担当者としては、マイナ保険証のメリットなどを説明した上で、できる限りマイナンバーカードの発行申請や健康保険証の利用登録を促すことも大切です。

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