平成19年分 年末調整について
投稿日:2007年11月1日(木)
昨年と比べて変わった点
1.定率減税の廃止・所得税の税率改正
- 定率減税の廃止
平成11年分以後の所得税に対して実施されていた定率減税について、平成18年分の所得税について2分の1に縮減され、平成19年分以後の所得税については、廃止のため適用がありません。 - 所得税の税率改正
国税(所得税)から地方税(住民税)への税金の移し替え(いわゆる税源移譲)が行われたことなどを踏まえ、平成19年度分の所得税から税率構造が5%~40%の6段階となっています。
改正後(平成19年分から) | 改正前(平成18年分まで) | ||
---|---|---|---|
課税給与所得金額又は課税退職所得金額(A) | 税額 | 課税給与所得金額又は課税退職所得金額(A) | 税額 |
195万円以下 | (A)× 5% | 330万円以下 | (A)×10% |
195万円超 330万円以下 |
(A)×10%- 97,500円 | ||
330万円超 695万円以下 |
(A)×20%- 427,500円 | 330万円超 900万円以下 |
(A)×20%- 33万円 |
695万円超 900万円以下 |
(A)×23%- 636,000円 | ||
900万円超 1800万円以下 |
(A)×33%-1,536,000円 | 900万円超 1800万円以下 |
(A)×30%- 123万円 |
1800万円超 | (A)×40%-2,796,000円 | 1800万円超 | (A)×37%- 249万円 |
- イ (A)の金額に1,000円未満の端数があるときは、これを切り捨てます。
ロ 課税給与所得金額が16,920,000円を超える場合は、年末調整の対象となりません。
2.給与所得の源泉徴収票及び給与等の支払明細書について、一定の要件の下で、書面による交付に代えて、電磁的方法により提供することができることとされました。
- 居住者に対し国内において給与等の支払をする者は、その支払を受ける人に対して次の書類を交付しなければならないこととされています。
- 平成18年度の税制改正により、給与等の支払をする者は、給与等の支払を受ける人の承諾を得て、書面による給与所得の源泉徴収票又は給与等の支払明細書(以下「給与所得の源泉徴収票等」といいます。)の交付に代えて、給与所得の源泉徴収票等に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができることとされました。この提供により、給与等の支払をする者は、給与所得の源泉徴収票等を交付したものとみなされます。ただし、給与等の支払を受ける人の請求があるときは、給与等の支払をする者は書面により給与所得の源泉徴収票等を交付する必要があります。
- この改正は、平成19年1月1日以後に交付する給与所得の源泉徴収票等について適用されます。
書類名 | 交付等の内容 |
---|---|
給与所得の源泉徴収票 | その年において支払の確定した給与等について、その給与等の支払を受ける人の各人別に源泉徴収票2通を作成し、その年の翌年1月31日まで(年の中途において退職した人については、その退職の日以後1月以内)に1通を税務署長に提出(一定のものを除きます。)し、他の1通を給与等の支払を受ける人に交付する必要があります。 |
給与等の支払明細書 | 給与等の支払の際、給与等の金額、源泉徴収税額その他必要な事項を記載した支払明細書をその支払を受ける人に交付する必要があります。 |
3.損害保険料控除が改組され、損害保険契約等に係る地震等損害部分の保険料の合計額(最高5万円)を総所得金額等から控除する地震保険料控除とされました。
- 従来、居住者が、各年において、自己若しくは自己と生計を一にする配偶者その他親族(以下「居住者等」といいます。)が有する家屋で常時その居住の用に供するもの(以下「居住用家屋」といいます。)又は居住者等が有する生活用動産を保険又は共済を目的とする損害保険契約等、居住者等の身体の障害に基因して保険金又は共済金が支払われる損害保険契約等の保険料又は掛金を支払った場合には、その保険料の額のうち一定の金額を「損害保険料控除」として居住者のその年分の総所得金額等から控除することとされていました。
- 平成18年度の税制改正により、損害保険料控除が改組され、居住者の有する居住用家屋・生活用動産を保険又は共済の目的とし、かつ、地震等損害によりこれらの資産について生じた損失の額をてん補する保険金又は共済金が支払われる損害保険契約等に係る地震等損害部分の保険料又は掛金(以下「地震保険料」といいます。)を支払った場合には、その年中に支払った地震保険料の金額の合計額(最高5万円)を「地震保険料控除」としてその居住者のその年分の総所得金額等から控除することとされました。
- 経過措置として、平成18年12月31日までに締結した「長期損害保険契約等」については、平成19年以後の各年において、従前の損害保険料控除と同様の金額の控除(最高1万5千円)が適用されます。
- 上記の(2)と(3)を適用する場合には、控除額は合わせて最高5万円とされています。
- この改正は、平成19年分以後の所得税について適用されます。
4.給与等、退職手当等又は公的年金等の支払を受ける者がその支払を行う者に提出するとされている源泉徴収関係書類について、一定の要件の下で、書面による提出に代えて、電磁的方法による提供を行うことができることとされました。
- 国内において、給与等、退職手当等又は公的年金等(以下「給与等」といいます。)の支払を受ける居住者(以下「受給者」といいます。)は、その給与等の支払をする者に対し、一定の申告書を書面により提出することとされています。
- 今回の改正により、給与等の支払をする者が、受給者から次の申告書に記載すべき事項に関し電磁的提供を受けるための必要な措置を講じる等の一定の要件を満たしていることについて所轄税務署長の承認を受けている場合には、その受給者は、書面による申告書の提出に代えて、電磁的方法により申告書に記載すべき事項の提供を行うことができることとされました。
- 給与所得者の扶養控除等申告書
- 従たる給与についての扶養控除等申告書
- 給与所得者の配偶者特別控除申告書
- 給与所得者の保険料控除申告書
- 退職所得の受給に関する申告書
- 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
- この改正は、給与等の支払をする者が所轄税務署長に対し承認を受けるための申請書を平成19年7月1日以後に提出し、受給者がその税務署長の承認を受けている給与等の支払をする者に対し上記の申告書を同日以後に提出する場合に適用されます。