産業競争力会議で雇用制度改革を議論 新たな労働時間制度の導入を検討
政府の産業競争力会議は、4月22日に開催された会合で、「働き過ぎ」防止の取り組み強化や、新たな労働時間制度の創設に向けた雇用改革案の議論を始めました。
働き過ぎ防止の総合対策では、長時間労働を強要するような企業が淘汰されるよう、問題のある企業を峻別して、労働時間の実績に関わる情報開示の促進など、労働基準監督署による監督指導を徹底することや、ハローワークにおける企業からの求人の提示に当たっては、従業員の定着率や残業時間のデータ開示を要することを検討するべきだとしています。
一方、働き方の改革として、高度外国人材をはじめ優秀な人材が働きやすい環境の構築、ITなどの技術革新も踏まえた労働生産性の向上などといった目標を掲げ、こうした働き方に対する新たなニーズに対応し、目標を達成するためには、一律の労働時間管理がなじまない働き方に適応できる、多様で柔軟な新たな労働時間制度等が必要であると指摘しています。
新たな制度として、法令に基づく一定の要件を前提に、労働時間ベースではなく、成果ベースの労働管理を基本とする時間や場所が自由に選べる働き方を提唱しています。
具体的には、労働時間の上限や年休の強制取得日数を決めることなどを要件として、本人の選択により制度を利用できるタイプや、年収の要件(例えば概ね1千万円以上)を定めた上で、高度な職業能力を有し、自立的かつ創造的に働きたい社員が選択により制度を利用できるタイプが挙げられました。
また、企画業務型裁量労働制やフレックスタイム制といった既存の労働時間制度について、在宅勤務のニーズを踏まえた特例措置を検討するべきだとしています。
これを受け、会議の議長を務めた安部総理大臣は、関係閣僚に対し、新たな労働時間制度の創設に向けて、雇用制度改革の検討を進めるよう指示しました。