労基法等改正で厚労省が報告書案 年休5日消化を企業に義務づけへ
厚生労働省は2月6日、労働政策審議会の分科会に、年5日の年次有給休暇を労働者に消化させることを義務づけるなど、働き過ぎ防止に向けた労働時間法制等の在り方を見直す報告書案を提出しました。
同報告書案では、年次有給休暇をほとんど取得していない労働者については長時間労働者比率が高い実態にあることを踏まえ、年5日以上の年次有給休暇の取得が確実に進むような仕組みを導入することが重要だと指摘しています。そのためには、年次有給休暇の付与日数が10日以上である労働者を対象に、有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季指定しなければならないことを労働基準法に規定することが適当であるとしています。
ただし、労働者自らが時季指定した場合や、既存の制度による計画的付与がなされた場合は、その日数に応じて指定すべき日数が減じられ、または義務から解放されるとしています。
また、月60時間を超える時間外労働に対する5割以上の割増賃金の支払い義務については、現在は中小企業への適用が猶予されていますが、中小企業の労働者の長時間労働を抑制し、その健康確保等を図る観点から、平成31年度より猶予を解除し、中小企業にも適用することなども盛り込まれました。
このほか、時間ではなく成果で評価される働き方として、特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設を提起。時間外・休日労働協定の締結や、時間外・休日・深夜の割増賃金の支払い義務などの適用を除外するとしています。
対象となる労働者は、「1年間に支払われることが確実に見込まれる賃金の額が、平均給与額の3倍を相当程度上回る」といった内容を法律で定めた上で、年収1,075万円を基準として省令で示すことが適当だとしています。対象業務についても、法案成立後に改めて審議会で検討の上、省令で示すとしています。
今後、労働基準法等の改正案が取りまとめられ、平成28年4月からの施行を目指して、今の通常国会に提出される予定です。