東京高裁が労災不支給処分を取り消し 海外勤務でも「国内所属」と認める
投稿日:2016年6月2日(木)
上海(中国)に赴任中に過労などを原因とする急性心筋梗塞で死亡した男性の遺族が、海外勤務を理由に労災保険の適用外とし、遺族補償給付を不支給とした中央労働基準監督署長の処分取り消しを求めた訴訟の控訴審で、東京高裁は4月27日、同処分を取り消す判決をしました。
判決で裁判長は、海外勤務中に労災保険の適用になるかは、仕事の内容や指揮命令など勤務実態を踏まえて判断すべきだとしたうえで、男性については、「労働の場が海外にあるだけで、実質的には国内の事業所に所属していた」と認め、労災が適用されると判断しました。
日本国内で行われる事業から派遣されて、海外の支店や工場、現地法人など、海外で行われる事業に従事する労働者は、あらかじめ労災保険に「特別加入」をすれば労災が適用されますが、男性はこの手続をとっていませんでした。